1 ITP の仕方からアップロードまでの流れ

岩松信洋      
___________________________________________________________________________________________________________________________

1.1 はじめに

今 回 、 「こ の ソ フ トウェアを Debian パッケージにして Debian の一部として提供したい」 と思ってるんだけ ど ど う し た ら よ い の か 、 Debian Developer ではない人の視点から、 ITP をどのように行えばいいのかま と め て み ま し た 。

1.2 ITP とは

Intend To Package の略で新しく Debian にパッケージを提供したいときに BTS に登録します。 これは Debian Developer でなくても行うことができます。

1.3 ITP をする前に

ITP をする前にチェックしておかなければいけないことがあります。

  1. パッケージ化したいソフトウェアのライセンスをチェックします。

    Debian Debian フリーソフトウェアガイドライン ( DFSG ) に準じているソフトウェア で な い と い け ま せ ん 。 ”GPL””BSD”、 および ”Artistic” がそのライセンスの例になりま す 。

  2. もうすでにパッケージがある可能性があるのでチェックする。 http://www.debian.org/distrib/packages apt-cache search で確認することができ ま す 。

    パッケージ化されていても Orphaned ( みなしご化 ) されていることもあります。 http://www.debian.org/devel/wnpp/orphaned で確認することができます。

    ITA (Intent To Adopt ) をして引き取ってメンテナンスをしましょう。

  3. ITP されていないか確認する。

    もうすでにパッケージにしたいソフトウェアが ITP されている可能性があります。 http://www.debian.org/devel/wnpp/being_packaged で確認することができます。

  4. RFP されていることをチェックする。

    Request For Package の略でパッケージ化の要望が BTS されていることがあります。 http://www.debian.org/devel/wnpp/requested で確認することができます。

    RFP されているときはバグの内容を RFP から ITP に変更する必要があります。

  5. Debian パッケージにしてみる。

    提供したいソフトウェアを Debian パッケージにしましょう。 ITP してからパッケージ化し てもいいと思いますが、 先におこなっておいて不具合がないか調べておきましょう。

これらをチェックして ITP をしましょう。

1.4 ITP のしかた

実際にはどのように ITP をしたらよいのでしょうか。 方法を以下にまとめてみました。

1.4.1 ITP
  1. reportbug の起動
    % reportbug --email hoge@example.org wnpp  
    として reportbugを起動します。  
    --email でe-mail アドレスを指定します。  
    wnpp というのは Work-Needing and Prospective Packages の略です。

  2. バグリクエストタイプを聞かれるので ITP を選択します。
    1 ITP  This is an ‘Intent To Package’. Please submit a package description  
           along with copyright and URL in such a report.  
    2 O    The package has been ‘Orphaned’. It needs a new maintainer as soon as  
           possible.  
    3 RFA  This is a ‘Request for Adoption’. Due to lack of time, resources,  
           interest or something similar, the current maintainer is asking for  
           someone else to maintain this package. He/she will maintain it in the  
           meantime, but perhaps not in the best possible way. In short: the  
           package needs a new maintainer.  
    4 RFH  This is a ‘Request For Help’. The current maintainer wants to continue  
           to maintain this package, but he/she needs some help to do this, because  
           his/her time is limited or the package is quite big and needs several  
           maintainers.  
    5 RFP  This is a ‘Request For Package’. You have found an interesting piece of  
           software and would like someone else to maintain it for Debian. Please  
           submit a package description along with copyright and URL in such a  
           report.  
     
    Choose the request type: 1

  3. パッケージ名を求められるので ITP したいパッケージ名を入力します。
    Please enter the proposed package name: hoge

  4. パッケージの簡単な説明を求められるので入力します。
     
    Checking status database...  
    Please briefly describe this package; this should be an appropriate short  
    description for the eventual package:  
    > hogehoge program

  5. 以下のような画面になるので、 ソフトウェアの内容 ( バージョン、 提供元 Web サイト、 ライセンス、 説明文 ) を入力します。
    Subject: ITP: hoge -- hogehoge program  
    Package: wnpp  
    Owner: hoge <hoge@example.org>  
    Severity: wishlist  
     
     
    *** Please type your report below this line ***  
     
    * Package name    : hoge  
      Version         : x.y.z  
      Upstream Author : Name <somebody@example.org>  
    * URL             : http://www.example.org/  
    * License         : (GPL, LGPL, BSD, MIT/X, etc.)  
      Description     : hogehoge program  
     
      (Include the long description here.)  
     
      -- System Information:  
      Debian Release: testing/unstable  
      APT prefers unstable  
      APT policy: (500, ’unstable’)  
      Architecture: i386 (i686)  
      Shell:  /bin/sh linked to /bin/bash  
      Kernel: Linux 2.6.12  
      Locale: LANG=ja_JP.eucJP, LC_CTYPE=ja_JP.eucJP (charmap=EUC-JP)

  6. 入力が終わると送信確認が行われます。
    Your report will be carbon-copied to debian-devel, per Debian policy.  
     
    Spawning sensible-editor...  
    No changes were made in the editor.  
    Report will be sent to "Debian Bug Tracking System" <submit@bugs.debian.org>  
    Submit this report on wnpp (e to edit) [y|n|a|c|E|i|l|m|p|q|?]?  

    ”y” を押すことによってサーバーに送信されます。 これで ITP の作業は終わりです。

1.4.2 RFP ITP

パッケージ化を希望されているパッケージをパッケージ化し、 Debian に提供する方法です。 RFP のバグ に対して BTS します。 実際にはタイトルを RFP から ITP に変更します。

以下のようなメールをバグ番号に対して送信します。 バグコントロールメールサーバにコマンドを送信 しています。

        owner 283119 ! //! address を #bugnumber の「 所有者」 に設定  
        retitle 283119 ITP: libflash -- GPL Flash (SWF) Library //! タイトルを 変更する  
        thanks //! コントロールサーバーへのコマンド終了  
 
        Hi,  
 
        I am interested in this package.  
        I wish to adopt this package.  
 
        Thanks,  
         Iwamatsu

1.4.3 O ITA

みなしご化されているパッケージを引き取ってメンテナンスしたいときの方法です。 Orphaned のバグに 対してメールをします。 実際にはタイトルを O から ITA に変更します。

以下のようなメールをバグ番号に対して送信します。 バグコントロールメールサーバにコマンドを送信 しています。

        owner 283119 ! //! address を #bugnumber の「 所有者」 に設定  
        retitle 283119 ITA: libflash -- GPL Flash (SWF) Library //! タイトルを 変更する  
        thanks //! コントロールサーバーへのコマンド終了  
 
        Hi,  
 
        I am interested in this package.  
        I wish to adopt this package.  
 
        Thanks,  
        Iwamatsu

1.5 ITP したら

  1. スポンサーを探す ITP をしたらスポンサーを探す必要があります。 スポンサーとはスポン サーは現存する Debian Developer で自分の指導者をしてくれる方です。 Debian Developer でないとパッケージを Debian にアップロードすることができません。 スポンサーは作成し たパッケージをチェックし、 パッケージをアップロードしてくれます。 また、 間違いがある ときは指摘をしてくれたり、 アドバイスをしてくれます。

    スポンサーを探すには debian-mentors ML で聞いてみるとよいでしょう。 http://lists.debian.org/debian-mentors/

    また、 GPG キーサインでサインして頂いた Debian Developer の方に相談するのも方法の ひとつです。

  2. スポンサーが見つかったらスポンサーが見つかったらそのスポンサーとやり取りし、 パッ ケージを改善します。

    スポンサーがアップロードしてもいいと判断された場合、 スポンサーの手によって Debian にアップロードされます。

東 京 エ リ ア Debian 勉強会 2005 _________________________________________________________

PIC