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この冬休みを利用して AspireOne に Debian sid の環境を構築しました。 AspireOne と言えば今流行りの NetBook として モバイル用途で知られています。 今回はその省電力性に注目し、 モバイル以外にもポータブルで場所を取らない簡易サーバーと して利用可能なのではないかと考えトライしました。
AspireOne は省電力性に優れる Intel Atom CPU を搭載しており、 アイドル状態で約 10W、 高負荷状態でも 15W 程度で動作 します。 高性能を要するエンコードやリッピングではなく、 ちょっとした Web サーバー等の用途であれば安価でエコなサー バーとして利用できそうです。
通常、 サーバーであれば安定版を選択します。 しかし AspireOne ならいつでも携帯して持ち運び、 管理者が対話的に操作して メンテナンスすることができるので、 これなら最新のパッケージを利用できる sid を使っても、 何かトラブルがあればすぐ対応 できるでしょう。
Debian Wiki *5 に情報がまとまっているので、 基本的にこれを参考に作業しました。
sid のインストールには主に 2 種類の方法*6 があります。
今回は後者の方法を採用しました。 インストールには Daily ビルド最新版の Debian イメー ジ*7 を利 用します。 名刺サイズのインストールイメージを利用して、 エキスパートモードでインストールを開始すると、 不安定版を選択 することができます。
モバイルで外に持ち出すことを考えると、 HDD や PC 本体の盗難によるリスクを考慮しなければなりません。 Debian は etch から暗号化 LVM を標準で利用出来るようになりました。 これで/boot 以外の領域を暗号化することができますのでセキュリ ティとしては非常に強力になるでしょう。
この際、 元の Windows 領域を全て上書き末梢するので 4〜5 時間程度かかります。 そこで一晩放置して翌日作業をするよう にしました。
AspireOne には Atheros AR5007 チップが搭載されています。 そこで module-assistant を利用して MadWifi をインストール しました。
sudo aptitude install build-essential module-assistant madwifi-source
sudo m-a prepare sudo m-a auto-install madwifi |
現時点で lenny/sid に搭載されているカーネル 2.6.26 ならイー・モバイルによる通信が可能で、 さらに USB の着脱によるプラ グアンドプレイにも対応しています。
pppconfig パッケージをインストールし /etc/ppp/peers/em ファイルに以下のように記述します。 文字列はイー ・モバイ ル固有ですのでこのまま指定します。 dip グループに所属したアカウントなら pon em コマンドを発行すればイー ・モバイル によるネットワーク接続ができるようになります。
user "em@em"
connect "/usr/sbin/chat -v -f /etc/chatscripts/pap -T *99***1#" /dev/ttyUSB0 115200 noipdefault usepeerdns defaultroute persist noauth |
私は以下のコマンドの実行結果を cron で定期的に取得しています。
aptitude update && aptitude -s -v -y full-upgrade
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実際にアップグレードはしませんが更新予定のパッケージの一覧を見ることができます。 これに加え必要に応じて apt-listchanges やapt-listbugs 等を使い、 既存パッケージの依存関係に影響を及ぼさないことを確認の上でアップグ レードすることにしています。
さらに確実性を高めるための方法として VMware など仮想環境を利用する方法があります。 あらかじめゲスト OS として実機 と同じパッケージ構成の sid を用意し、 先にそちらを変更して問題が無いことを確認してから実機のパッケージを変更すればト ラブルを避けることができます。
Debian sid なら最新のドライバや機能が使えるので、 流行の NetBook にインストールしてモバイルなサーバーとして活用す るのも良いですね。 ぜひみなさんもトライしてみてください。
第
48 回東京エリア Debian 勉強会 2009 年 1 月
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