4 Debian の紹介

やまねひで き

PIC
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4.1 Debian とは何か

「Debian とは一体何ですか? *1 」 には以下のように書かれています。

Debian Project は、 フリーなオペレーティングシステムを作成するために連携した個人の集団です。 我々が作成したこの オペレーティングシステムは Debian GNU/Linux もしくはもっと短かく簡単に Debian と呼ばれています。

4.2 Debian の特徴

今だと Windows/MacOSX 以外の「いわゆるフリーな OS」 はいくつかあります。 では、 他の OS / ディストリビューション と Debian の違い、 その特徴を語るキーワードとは何でしょうか?私は「Universal OS」 「フリー」 「ボランティア」 の三つを 挙げます。 順を追って説明します。

4.2.1 Universal OS

これが Debian が目指すものです。 その意味するところは「あらゆるマシンで動くフリーなソフトウェアによる誰もが使える OS」 です。 単に PC で動くだけではなく、 最近は廃れてきましたが UNIX ワークステーションや汎用機、 組み込み用機器、 モ バイル端末、 ゲーム機…あらゆるマシンで動作することを目指しています。 そのため多数の CPU アーキテク チャをサポートしているのが特徴です。 サポートする/した/しようとしているアーキテクチャは以下があり ま す 。

  • i386 (通常の PC)
  • amd64 (最近の 64bit CPU)
  • ia64 (流行らない Intel の 64bit CPU。 Itanium など)
  • mips/mipsel
  • arm/armel (シャープの Netwalker やモバイ ル端末がこれ)
  • alpha
  • hppa (HP のワークステーション)
  • sparc (Sun)
  • powerpc
  • m68k (昔の Macintosh や Amiga など)
  • s390 (汎用機です)
  • sh (日立の)
  • avr32

また、 その動作の核となるカーネルも Linux だけではなく他のカーネルに取り替えても動作することを目指しています。 こ の移植版としては

があります。 *3

単に動作する機器/カーネルが多いだけではなく、 その上のユーザランドのソフトも豊富で、 パッケージ化されており導入が 容易になっています。 現在リリースされている Debian 5.0 コードネーム「Lenny」 ではその数は 25,000 パッケージを越え、 その数はさらに増えつづけています。 Linux で使えるソフトウェアを探す場合、 大抵は既に Debian のパッケージとして提供 されているので気軽に試すことができるでしょう。

それから Debian で利用可能な言語は多種に渡ります。 それは自然言語(英語、 日本語など) でもあり、 計算機言語という意味で もあります*4 。 巷ではマイナーと呼ばれるような言語であっても「Universal OS」 を目指す Debian は積極的に取り込んでいます。 例えば、 ブータ ン公用語「ゾンカ語」 をサポートする DzongkhaLinux は Debian をベースに開発され、 その成果は Debian に取り込まれていま す*5 。

4.2.2 フリー

Debian の考える「フリー」 は単に無料に止まらず、 Debian フリーソフトウェアガイドライン (DFSG) という形でまとまって おり、 これが元になって「オープンソース」 が生まれました。 この点が担保される、 この考えを皆が共有することでさらに豊か なソフトウェア/コンテンツ/社会が生まれています。 このフリーというのは考えてみると中々奥深いものがありますので、 ぜ ひ DFSG には一度目を通した上で Debian の考えるフリーという意味について Debian Developer の方などと話をしてみてく ださい。

4.2.3 ボランティア

最後のキーワードです。 Debian はその開発や財政基盤を会社や財団に持たない極めて稀有な開発集団で す。 大抵の有名ディストリビューションが企業をバックに開発をしていたり財団を持ってそのいたりす る*6 のですが、 Debian 自体 は財団や企業を持ちません*7 。 ボランティアが世界中でインターネットを介して開発するという状態が 10 年以上も続けられており、 その規模は 1000 人を優 に越えています。

4.3 誰が Debian を使っているの?

では、 実際に誰が Debian を使っているのでしょうか? 「仕事で使うなら Red Hat Enterprise Linux かそのクローンの CentOS が普通だよね〜」 などと言い切っている人はいませんか? 実は、 世の中に Debian で実際のビジネスを回している企業 は山のようにあります。 その中にはあなたが知っている企業もあるはずです。 また、 開発に愛用しているという方も少なくあり ません。 あなたが使っているソフト/サービスは実は Debian が動いている/ベースになっている…かも知れませ んよ。

4.4 最後に

簡単ではありますが、 Debian の紹介をさせて頂きました。 これも何かの縁だし Debian を使ってみてもいいかな、 と多少でも 思っていただければ幸いです。

4.5 Debian フリーソフトウェアガイドライン

Debian フリーソフトウェアガイドライン全文*8 を 掲載します。


  1. 「自由な再配布」 …Debian システムを構成するソフトウェアのライセンスは、 そのソフトウェアを、 複数の異なる提供元 から配布されているプログラムを集めたソフトウェアディストリビューションの一部として、 誰かが販売したり無料配布 したりすることを制限してはいけません。 また、 ライセンスはそのような販売に対して使用料やその他の手数料を要求し てはいけません。
  2. 「ソースコード」 …プログラムにはソースコードが含まれていなければならず、 かつ実行形式での配布に加えてソース コードでの配布をも許可していなければなりません。
  3. 「派生ソフトウェア」 …ライセンスは、 ソフトウェアの修正や派生ソフトウェアの作成、 並びにそれらをオリジナルソフ トウェアのライセンスと同じ条件の下で配布することを認めていなけばいけません。
  4. 「原作者によるソースコードの整合性維持」 …ライセンスは、 プログラムを構築時に変更する目的でパッチファイルを ソースコードとともに配布することを容認している場合に限り、 ソースコードを修正済の形式で配布することを制限する ことができます。 この場合、 そのライセンスは修正済のソースコードから構築されたソフトウェアの配布を明示的に許可 していなければなりません。 またライセンスは派生ソフトウェアにオリジナルソフトウェアと異なる名前を付けること、 あるいは異なるバージョン番号を付けることを要求できます (これは妥協案です。 Debian グループは全ての作者に、 ファ イル、 ソース、 バイナリについての変更を制限しないよう奨めています)。
  5. 「すべての個人、 団体の平等」 …ライセンスは、 すべての個人や団体を差別してはなりません。
  6. 「目標分野の平等」 …ライセンスは、 人々が特定の目標分野でプログラムを利用することを制限してはいけません。 たと えば、 商用利用や、 遺伝学の研究でのプログラムの使用を制限していてはいけません。
  7. 「ライセンスの配布」 …プログラムに付随する権利は、 プログラムが再配布されたすべての人々に対して、 追加ライセン スの履行を必要とすることなく、 適用されなければなりません。
  8. 「ライセンスは Debian に限定されない」 …プログラムに付随する権利は、 プログラムが Debian システムの一部である かどうかに左右されてはいけません。 プログラムが Debian から取り出され Debian とは別に使用または配布されると しても、 その他の点でそのプログラムのライセンス条項を満たしているならば、 プログラムが再配布されたすべての当事 者は Debian システムにおいて付与されたのと同じ権利を与えられなければなりません。
  9. 「ライセンスは他のソフトウェアを侵害しない」 …ライセンスは、 そのソフトウェアとともに配布される他のソフトウェア に制約を加えてはなりません。 たとえば、 同じ媒体で配布される他のソフトウェアがすべてフリーソフトウェアでなけれ ばならないと要求してはいけません。
  10. 「フリーなライセンスの例」 …GPL、 BSD、 および Artistic ライセンスは私たちがフリーと判断しているライセンスの例 です。

図 1: The Debian Free Software Guidelines (DFSG)


第 61 回東京エリア Debian 勉強会 2010 年 2 月
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